せどりを始めて、商品が売れるようになってきた頃、耳に入ってきて気になるのが、
自分に古物商許可証が必要なのかどうか?
という点ではないでしょうか。
この記事では、「自分が古物許可証の必要なケースに該当するのか?」という疑問を解消するために、ヤフオク・メルカリなどのオークション・フリマ販売も含め、古物商許可証が必要になる場合について解説していきたいと思います。
古物商許可証って何?
まず、古物商許可証って何なんですか?というと、”古物を仕入れて販売することを「業」とする人に必要な許可証”になります。
平たく言えば、”売る目的で物品を仕入れてきて販売することを、継続的に行おうとする場合に必要となる許可証”のことです。
そもそも、こんな許可証がなぜ必要なのか?という理由ですが、これは管轄が各都道府県の警察(公安委員会)となっていることから推察できます。
どんな理由かというと、「その古物は盗品なんかじゃありませんよ、きちんと登録した業者が、合法的な方法で仕入れて販売してるんですよ!」ということを明らかにするため。また、盗難などの問題がおきた際にすぐに調べられるように、警察が窓口となって許可証を出すというシステムになっている訳です。
“古物商”と”販売業者”
ただ、この古物商許可証は警察が窓口になって発行していますが、例えば、オークション販売でどのような人を業者扱いとするかという規定は、消費者庁のホームページに“特定商取引法におけるネットオークションにおいての「販売業者」”というガイドラインが公表されています。
このガイドラインを制定しているのは経済産業省。ここに明示された条件に合致する人は、法律的に「販売業者」に該当します。
「販売業者」に該当するというのはどういうことか?というと、「特定商取引法」の適用対象となるため、
- 住所氏名などの広告が義務付けられる
- 誇大広告の禁止などが適用される
- 古物を扱う場合は古物商の許可が必要になる
などの規制対象と見なされます。
つまり、古物商の許可を出すのは管轄の警察署なのですが、オークションにおいての販売業者のガイドラインを出しているのは経済産業省。
そうなると、この2者の間には考えの違いも存在するため、いくら本人が「私は経済産業省のガイドラインに該当しておらず、販売業者とはされない」と主張しても、警察に「お前は業者だろう!許可証を持たずに売り買いしていたのか!何か後ろ暗いところでもあるのか!?」と疑われてしまう、などというケースも考えられる訳です。
許可証なしのオークション販売は違法?
では実際に、古物商許可証がないと古物を販売できないのか?というと、そんなことはありません。オークションやフリマで自分の不用品を出品することは、今やごく普通で、当たり前のこととなっています。そういった人たちは、古物商の許可証なんていちいち取ったりしませんよね。
また、そういう人たちが許可証を持っていないからと言って、片っ端から検挙していったら、警察はそれだけで膨大な時間を費やすことになり、仕事になりません。
それじゃあ、そういう人たちは違法行為をしているのか?といえば、これは違法には当たりません。
古物商として許可証が必要になるのは、
- 古物を仕入れて営利目的で販売する
- 継続的にその行為を行う
という2つの条件が揃った時のみなります。
ですので、いくら大量にヤフオクやフリマで物品を販売していても、あくまで不用品の処分だった場合、許可証は必要ありませんし違法行為にも当たりませんので、どうぞご安心ください!
古物とは何か?
それでは、ここでいう”古物”とは、どんな物品のことを指すのでしょうか?
古物にかかわる法律は、現在”古物営業法”という名前で施行されており、その中で古物の定義については、第二条にこのように書かれています。
第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
つまり簡単に言えば、
- 一度誰かが使用した物品
- 使用していない物品だが、使用のために取引された”新古品”と呼ばれるもの
- これらの物品に修理などの手を加えたもの
このような条件に該当する、中古・新古の物品を指すことになります。
ですが、この定義だけでは、具体的にどんな時に古物商許可が必要となるのか、今一つわかりづらいですよね。
警視庁のホームページに、Q&A形式で具体的な判断例が出ているのですが、この内容と併せて、一般の人が古物を売買する場合に必要か・必要でないかのケースを簡単にまとめてみました。
(1)古物商許可が必要なケース
- 古物を買い取って売る。
- 古物を買い取ったものを修理して売る。
- 買い取った古物から、部品取りをして売る。
- 古物を買い取ってレンタルする。
- 古物を別の物品と交換する。
- 古物を委託販売して、後から手数料を徴収する。
- 国内で買った古物を、国外に輸出して売る。
- 業者が輸入したものを国内で買い取って、転売する。
- これらの行為をネット上で行う。
(2)古物商許可が必要ないケース
- 自分で使っていた物を、フリマ販売・オークションなどで売る。
- 新品を購入して他所で転売する。
- 新品を購入してレンタルする。
- タダでもらった物を売る。
- 自分が海外で買いつけしてきたものを売る。
一般の人がオークション・フリマで販売する場合や、せどりをやろうとする人が該当しそうなケースはこの辺りかと思いますが、どうでしょうか。少しは必要な基準が明確になってきたでしょうか?
営利目的かどうかの基準
これまで古物商許可証に関する概要について説明してきましたが、やっぱり一番気になるのは、自分で使っていた物を対面・オークションなどで売る場合の、個々の細かいケースですよね!
先ほど、自分の不用品を販売している分には許可証は必要ないと書きましたが、例えばこんなケースではどうでしょうか?
ケース1)半額セール購入・未使用品の転売
量販店のセールで半額近くになっていたので、子ども用の大型水筒を新品で2コ購入。子どもに「みんなと同じのでないとヤダ」と言われ、完全に未開封のまま別の商品を購入。ネットで調べてみたら、Amazonで定価の300円引きで売っていて、出品してみたらすぐに売れた。続けてもう1コも出品したら、こちらもすぐに売れたので、合計で1,000円ほど利益が出た。
▶販売した利益が出ており、さらに繰り返し販売をしているケースです。この場合、購入したのが中古品ではなく新品であるため、古物商の対象にはなりません。また、2回程度の販売では「継続性がある」とは言えないので、どちらにしても問題はありません。
ケース2)フリマ購入品の転売
フリマで子ども服を200円で購入。ほとんど着ないまま着れなくなってしまったので、メルカリに出品。メルカリは最低価格300円なので、300円で販売した。
▶中古品の売買で、購入価格よりも販売価格の方が高く、差益が出てしまうパターンです。この場合の焦点となるのは、「販売目的で買ったのか」、「継続性があるかどうか」という点です。一回きりなら問題ありませんが、いくら自分の子供のために買ったという言い訳があるにしろ、これを何度も繰り返しすと業者と見なされることもありますので、注意しましょう。
このように、許可証が必要となるかどうか迷った場合は、
- 購入した時点で、利益を得ようという意思があったかどうか
- 利益を出そうとする行為を継続的に繰り返しているかどうか
の2点に焦点を絞って考えてみてみると良いかと思います。
不安になった時の問い合わせ先
許可証が必要かどうかの判断で難しいのは、「本人にその気があるにしろないにしろ、客観的に見て、利益目的に見える場合はNG」という判断をされてしまう点です。
どんな状況であるにせよ、いざという時、警察には「自分としてはそんなつもりはなかった…」という言い訳は通用しません。
「こういう場合はどうだろう…」と心配になるようであれば、早めにお近くの警察署に電話して問いあわせをしてみるのが一番です。
問い合わせ先は、東京都内の場合は警視庁防犯係が管轄です。一覧はこちら!
それ以外の県も、各県の警察署防犯係が窓口となっていますので、各県警のホームページより、問いあわせ先をご確認ください。
また、”古物営業法”については、警視庁の古物営業のページが分かりやすく整理されていますので、下記ページをご参照ください。
古物商許可証取得したの!?
ちなみに我が家が許可証を持っているかどうか?というと、オークションで不用品をちまちま販売している間は持っていなかったのですが、家業として中古品の売買に本格的に参入することが決まった時に、夫が取得しました。
業務に携わる者の中で一人が持っていればよく、「また何を販売するか」は関係ありませんので、これを持っていれば該当する物品である限り、本でも服でも貴金属類でも美術品でも車でも船でも扱える…!という訳です。
ただし、取得した後に作成することになっているプレートには、扱うジャンルを表記する必要がありますので、自分がどのジャンルに当たるのか、取得時に確認しておいて下さいね。
プレートは我が家は警察での講習の時に注文してしまい、高くついてしまいましたが、今はネットで購入できるので、かなり安いです!
取得するのに試験がある訳でもなく、書類の書き方も警察で教えてもらえるので、難しいことは特にありませんよ!(^^)
古物商許可証が必要な場合・まとめ
それでは、今回の記事のまとめです。
- 古物商許可証とは、古物を仕入れて継続販売することを業としている人に必要な許可証である。
- “古物商許可証”は警察が窓口となり発行。
- オークションなどで販売している”販売業者”に関する規定は、経済産業省が制定、警察とは見解が異なる場合がある。
- 自分の不用品をオークションやフリマで販売するのは許可は必要ない。
- 古物とは、一度使用した物品、新古品、修理後販売する物品などのことを指す。
- 古物商許可証が必要となるのは、利益を目的として仕入れ、それを継続した場合のみ。
- 問い合わせ先は、営業所所轄の警察署の防犯係まで。
以上になります。
「自分に古物商許可証が必要なのかどうかわからない!」とお困りの方の、疑問を解決するお手伝いになれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました(^^)/
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